アナリスト対談

多様化する「バランス型ファンド」の選び方

国内外の株式・債券など複数の資産クラスに分散投資する「バランス型ファンド」。最近、その選択肢が増えていると感じるDC担当者も多いのではないだろうか。背景には、リタイアメントの年に向けて自動的に資産配分(リスク割合)を変えていく「ターゲットイヤー型」ファンドに加え、資産配分を機動的に変更する「アセットアロケーション型」ファンドの登場がある。

さまざまなタイプのバランス型が登場し、選択の幅が広がること自体、DC担当者や加入者にとっては歓迎すべきことだろう。しかし半面、「バランス型」と一括りにできないほど顔ぶれが多彩になった現状を前に、「商品の違いがわかりにくい」といった声も聞かれるようになってきた。ファンド分析の専門家の声も交えながら、多様化する「バランス型ファンド」の違いや商品選定のポイントをまとめてみた。

01リーマン・ショックを機に新たな商品開発の動きが加速

1つのファンドの中に複数の資産が組み入れられているため、投資家(加入者)自身が配分比率を考え、調整しなくてもいい―そんな「おまかせ運用」の性質を持つバランス型ファンドは、日本でDC制度が発足した2001年以来、多くの加入者から根強い支持を集めてきた。

しかし近年、10年以上前からDC商品にラインアップされていた「従来型」に加え、「ターゲットイヤー型」や「アセットアロケーション型」など、新たなタイプのバランス型ファンドも数多く登場している。

リーマン・ショックを機に新たな商品開発の動きが加速

そうした「次世代型ファンド」が台頭してきた背後には、一体どんな事情があるのだろうか。中立的な立場から投資信託の評価・分析や情報提供を行っている、三菱アセット・ブレインズ(以下、MAB)のシニアファンドアナリスト、奥村武史氏は次のように見ている。

「2008年にリーマン・ショックが発生した際、主要な資産がいっせいに売られ、大きなマイナスリターンを記録しました。本来、機能すると思われていた複数資産への分散効果が発揮されなかった事態を経験し、資産運用業界が金融危機に対する解決策を探り始めたわけです」

典型的な従来型ファンドは、伝統4資産(国内債券、国内株式、外国債券、外国株式)に決まった比率で配分し、定期的にリバランスしていく。このくらい分散投資しておけば、どれか1つの資産クラスが下落しても別の資産は安定しているだろうから、全体としては大きな痛手は負わない。そんな考え方が従来型の根底にはあった。ところが、リーマン・ショックでは国内債券以外の3資産は大きく下落し、資産間の相関も高まった。しかもそうした相関性の上昇は、市場のグローバル化によって恒常化している状況だ(図1参照)。

図1

「そこで米国など海外の運用業界が2010年前後に出した答えが、市場環境の変化に応じて資産配分をダイナミックに調整したり、運用者の制約条件を緩和したりする運用戦略の開発でした(後者は「アンコンストレインド」と呼ばれる)。日本の公募投信の世界でも、一昨年頃からそうした商品が登場し始め、ここ1年くらいでDC向けのファンドにも広がってきたのです」(奥村氏)。

固定的な資産配分に縛られることなく、マーケットの動向に対応しながら、安定的にリターンを出していこうという考え方への転換だ。

※『DCウェーブ』(Vol.13)の記事を掲載しています。
※所属・役職は上記取材日時点のものです。