ASSET DIRECTION®事例紹介4

多様化する「バランス型ファンド」の選び方

三菱アセット・ブレインズ(MAB)が提供する、預かり資産営業支援システム「ASSET DIRECTION®シリーズ」の活用が、有力地銀で広がっている。同システムを導入する地方銀行は7月末時点で10行を数え、今後もさらに増加する予定だというが、先駆けとなったのが常陽銀行だ。その導入は約5年前の2011年9月にまでさかのぼり、同年6月に頭取に就任し、リテール畑の経験もある寺門一義頭取のリーダーシップのもと、預かり資産営業の強化が図られていた時期でもあった。

ポートフォリオ提案の推進で単一商品の保有者が減少

1998年の投信窓販解禁以降、高い販売力で知られてきた常陽銀行だが、当然のことながら課題もあり、特に投信保有者全体に占める単一商品保有者の比率の高さには危機感があったという。「そこでポートフォリオ提案の推進が掲げられたものの、そもそもお客様のご資産の状況を一覧にしてお見せできるようなツールがなかったため、お客様へのコンサルティングを深めるべく導入されたのがASSET DIRECTION®だったのです」。そう話すのは、同行の営業推進部資産運用推進室の室長を務める石田幸裕氏だ。

リーマン・ショックを機に新たな商品開発の動きが加速

一方で2011年といえば、茨城県を地盤とする常陽銀行にとって特別な年であったのはいうまでもない。「ASSET DIRECTION®の件で初めて訪れたのは、まだ常磐線も復旧していない震災の爪痕が色濃く残るころで、お邪魔するのさえ憚られるようでした」。当時をそう振り返るのは、MABの執行役員である内田一博氏。「それでも、『こういう時だからこそ、お客様のためになることをする。それは必ず銀行のためにもなる』と皆様が口をそろえておっしゃっていて、少しでもそのお手伝いができればと思ったことをよく覚えています。いま考えれば、まさにフィデューシャリー・デューティーの精神をすでに実践されていたといっていいのかもしれません」。

ASSET DIRECTION®シリーズの最大のメリットは、投信はもちろん、保険商品や預金なども含めて顧客の資産全体を横断的に「見える化」できる点であり、地域や通貨などの分散状況もビジュアルに示すことができる。また、商品の追加購入によってリスク・リターンがどう変化するのかといったシミュレーションも可能で、「例えばこの商品とこの商品を組み合わせるとリスクが低減するということを、従来は言葉でしか説明できなかったのが、お客様に目で確認してもらえるようになり、当行がポートフォリオ提案を推進する大きな原動力になりました」と石田氏は強調する。

その効果は数字でも実証されていて、2014年3月末には1銘柄しか投信を保有していない顧客が全体の47.5%だったのが、足下の2016年3月末には40.5%にまで低下。それに対して4銘柄以上の保有者は、16.0%から23.7%にまで増加している(下記の図参照)。常陽銀行はここ数年で着実に投信残高と投信口座数を増加させ、積立投信の月間振替金額も10億円を超えるまでになっているが、そうした定量面だけではなく、質的な変化を象徴する数字といえるだろう。そこに一役買ったのが、ASSET DIRECTION®だったというわけだ。

図1

「もともと常陽銀行さんではCRMの活用が進んでいて、それをアウトプットすることで営業に役立てたいというニーズがはっきりしていたため、受け入れていただきやすい土壌があったのだと思います。販売現場の方からも、『まさにこういうものが欲しかった』と言っていただけたことは特に印象に残っています」(内田氏)。

※金融情報誌『Ma-Do』(Vol.43)の記事に加筆のうえ掲載しています。