ASSET DIRECTION®事例紹介3

お客様と一緒に資産を守り、育てていくという営業スタイルの転換をツールの活用で後押し

ここ数年で有力地銀での導入が相次いでいる三菱アセット・ブレインズ(MAB)の預かり資産営業支援ツール「ASSET DIRECTION®」だが、北海道を地盤に8兆円を超える総資産を有する北洋銀行も、昨年4月にそのユーザー行に加わった。

「当行の投信口座のうち、単一の商品しか保有されていないお客様が半数以上いらっしゃいます。そうしたお客様へのアフターフォローと、ポートフォリオの改善のためには、ASSET DIRECTION®のようなツールが必要だと考えたのです」。同行の執行役員で資産運用推進部長を務める田中修氏は、その背景についてそう話す。

「使われる」ことにこだわり 販売現場の声を積極的に採用

北洋銀行 執行役員 資産運用推進部長 田中 修氏

北洋銀行は高い販売力を誇る一方で、その時々のマーケットに左右された提案になっていた面も否めず、リーマン・ショックの際にも結果的に傷ついてしまった顧客が少なくなかったという。「当時もアフターフォローは重視していたものの、運用レポートくらいしか武器がなかったこともあって、リレーションを深めるまでには至らなかったという反省がありました。マーケットの先行きがますます読みにくくなる中で、お客様と一緒に資産を守り、育てていく営業スタイルに変えていかなければならないと考えたのも導入の理由の1つです」。

その点、ASSET DIRECTION®を用いればお客様の資産の現状を分析できるのはもちろん、どうすれば最適なポートフォリオになるのかを示すこともできる。「分散」ボタンを押すだけで保有ファンドと相性の良い商品を自動的に選択してくれる他、お客様に投資地域などのこだわりがあれば、それに応じたファンドを選べる機能も備わっている。

しかも、そうした組み合わせの効果を豊富なビジュアルで「見える化」できるため、リスクとリターンの関係、商品の追加でそれがどう変化するのかなどが投資初心者でも理解しやすい。「商品ありきではなく、お客様の資産全体の中で投資をどう位置付けるのかを考えるきっかけとなるのです」(田中氏)。

ASSET DIRECTION®

もともと同行ではポートフォリオ分析ツールを導入していたものの、顧客の資産を改めてヒアリングして入力しなければならないなど、使い勝手の悪さからあまり活用されていなかった。しかし、CRMシステムと連動するASSET DIRECTION®であれば、そうした手間が省けるうえ、「当社としても現場の担い手の皆様に使っていただけなければ意味がない、という点には徹底的にこだわってきたのです」と話すのは、MABの執行役員である内田一博氏。「せっかく導入する以上、多くの機能を備えたいと考えるのもよく理解できますが、私自身の経験からいっても複雑なものは結局使われなくなってしまうのです」。

さらにはタブレットの画面表示の美しさ、動作スピードなども重要であり、「とにかくシンプルな導線で、立ち上げたらすぐに使えて提案できるということが大切」だと内田氏は話す。いわゆるユーザー体験が最優先されるわけだが、だからこそ今回の導入に当たっては、販売現場の声にも積極的に耳を傾けたという。

厳しい相場環境だからこそ 効果がさらに発揮される

このような使い勝手の良さ、さらにはMABによる研修などのサポートもあって、販売現場の反応も上々。「当行では同じ時期に、『預金を含めた資産運用』というコア・サテライトの考え方を取り入れていますが、ASSET DIRECTION®はその核となるツールといえるでしょう」(田中氏)。

とはいえ、「その効果はまだこれから」と田中氏は気を引き締めるが、北洋銀行の直近の販売件数ランキングを見てみると、「ニッセイJPX日経400アクティブファンド」「マニュライフ・米国銀行株式ファンド」といった株式を投資対象にした、しかもアクティブファンドが上位に食い込んでいる。地方銀行では珍しいケースといってもいいが、これも既存のREIT型や債券型ファンドの保有者への組み合わせ提案が成功している1つの現れといえるだろう。

三菱アセット・ブレインズ 執行役員 主席コンサルタント 内田 一博氏

「研修などを通して印象に残ったのは、皆様が正しい販売手法を真剣に追い求められている点です。ともすると、簡単に販売できる話法を教えてほしいといったことになりがちなのですが、北洋銀行さんの場合は銀行としての投信販売のあるべき姿を、きちんと考えられているのが伝わってきました」(内田氏)。

もっとも、昨年の夏以降の相場の変動で、北洋銀行にしても厳しい環境に直面しているのも事実。しかし、「マーケットが変動している状況だからこそ、ASSET DIRECTION®をもっと活用すべき」だと田中氏は強調する。「このタイミングでお客様をしっかりフォローし、コンサルティングをしながらポートフォリオを見直すことができれば、結果としてお客様に喜んでいただける可能性は高いでしょう。販売現場は数字を追い求めなければならないのも確かですが、一方ではお客様の喜びを力に変え、自分たちも楽しむくらいの感覚で取り組んでもらいたいですね。そのカギを握るのが、ASSET DIRECTION®なのです」。

北洋銀行 執行役員 資産運用推進部長 田中 修氏

もともと同ツールは、メガバンクのトップセールスパーソンが、2007年~2008年の投信市場の低迷期にどんなフォローをして卓越した業績をあげていたかを分析することで誕生したものでもある。まさに相場が混乱した時にこそ、効果を発揮するといっても過言ではないだろう。

最後に田中氏は、今後の課題を次のように話してくれた。「貯蓄から投資へといわれてずいぶん経ちますが、投資をされるお客様はいまだ一部にとどまっています。その理由の1つに、『投資=怖い』というイメージもありますから、投資は自らの資産を守るものだという意識変革が不可欠になるでしょう。その意味でも、ASSET DIRECTION®のようなツールを使い、お客様の資産全体を『見える化』しながら地道に対話を重ねていけば、投資家層の裾野は自ずと広がっていくはずです」。既存顧客のアフターフォローに、さらには新規顧客の開拓に、同行にとってASSET DIRECTION®はますます欠かせないものになりそうだ。

※金融情報誌『Ma-Do』(Vol.41)の記事に加筆のうえ掲載しています。